hatarakuotonatachi

久米島に見つけた、やりたい仕事。

 学部卒での就職を考えていたので、大学四年生になって、化粧品・食品関係の会社を中心に就職活動を始めました。採用媒体に登録したり合同説明会に行ったりと、いわゆる周りと同じように就職活動を進めていました。しかし、いまいち「ここで働きたい!」とピンと来るものに出会えることができませんでした。

そんな期間が長かったのですが、ある日「沖縄 化粧品」と検索してみると、「ポイントピュール」という、久米島を拠点に化粧品の研究・開発から製造・販売まで行っている会社を発見。名前も聞いたことのない会社でしたが、調べてみると、久米島の海洋深層水や沖縄の天然素材を原材料にした化粧品の研究開発をしている企業でした。

化粧品開発、特に自然由来の肌にやさしいものを作ってみたいと考えていた私は、この会社に一目惚れ。ここしかない!と思い、直接電話をして、面接をお願いしたんです。

ポイントピュールを見つけるまでの就職活動では、合同説明会に行っても希望する職種がなかなか見つからず、履歴書の筆も全く進みませんでした。いくつか面接も受けましたが、うわべだけの志望動機や言葉に気持ちが入っていないことは面接官にも見抜かれていたんだと思います。その反面、ポイントピュールでは、やりたいことが明確だったので履歴書は一気に書き上げることができました。

自由記述欄には、こんな商品があったらいいな、という自分が作りたい商品案も書きました。私は、生まれつき肌が弱く、自分の肌に合わない化粧品を使うと、皮膚が真っ赤になってしまうことがあったので、肌にやさしいナチュラルなものを好んで使っていました。自由記述に書いた商品案も、そんなナチュラル志向の美容アイテム。ターゲットまで細かく設定し、商品パッケージのイメージまで描いて自分の気持ちをぶつけました。

結果、その思いが伝わり、ポイントピュールに入社することができました。就職活動を始めるまでは全く知らなかった会社ですし、そもそも、沖縄で化粧品の研究職はないとさえ思っていました。自分は何がしたいのかということを考え続け、自分の気持ちに素直に行動できたことで、今ここで楽しく働くことができていると思います。

失敗は、マイナスじゃない。

ポイントピュールの仕事は、相手先ブランドの受注生産(OEM)がメインです。お客様から「こんな商品を作って欲しい」というご要望をうかがって、試作品を作り、何度も調整しながら、希望の使用感になるまで試作を繰り返します。基本的には、1つの商品の担当は1人。平均で1カ月あたり約5件の案件を扱います。

商品によっては半年以上の試作を重ねます。化粧品は人が使うものなので、その使用感は、言葉や数字では表現しきれない個人の感覚による部分が多くを占めます。「しっとり」という言葉ひとつとっても使う人によっては全く違ったものをイメージしていると思うんです。

だからこそ、商品化に向けてのやりとりの中で、お互いの認識を合わせることが重要なんです。聞き方ってとても大切で、同じ言葉でも自分と相手の解釈が違うことってよくあるんですよ。お客様との商品に対する感覚・解釈の違いを擦り合わせるために、どんな場面で使うのかなど、商品を使用する場面やその背景もしっかりと聞きながら商品を考えていきます。

女性なら共感してくれる人も多いかと思うのですが、例えば東京に行って、普段沖縄にいるときと同じ化粧品を使うと、使用感に違いが出てくることがよくあります。私自身、沖縄と東京で同じ化粧水を使っても、肌の調子に変化がありました。沖縄ではベストな保湿感だと思っていたものが、他の地域で使用すると物足りなかったり、逆にベタベタしすぎたりすることもあるんです。

使う人がどこに住んでいるのか。湿気が多い地域なのか、水質はどうなのかなど。また使う人が違えば、それぞれの肌質だって変わってきます。だから、どんな人がどんな環境でその化粧品を使うのかというバックグラウンドまでを考慮して商品開発に臨みます。そのような過程を経て自分が携わった化粧品が商品化されたときはとても嬉しいですし、やりがいを感じますね。

しかし、仕事の中でうまくいかないことも当然あります。入社当初はできないことばかりでした。いくつ試作品を作っても失敗が続き、目に見える形で結果を残すことができず、悔しく情けない気持ちでいっぱいでした。

そんなときに、当時の上司から「あなたのやっていることは間違っていないよ。何度も失敗していくうちにできるようになるから、今のやり方を継続してみなさい」と言っていただいたんです。その言葉をきっかけに、失敗も学びのひとつだ、マイナスじゃないと、前向きに捉えることができました。

それまでは、失敗ばかりでは前進できない、成功して初めて前進した実感を得るのだと思っていました。しかし、試作品を作る過程でたとえ失敗したとしても、それはこの割合で原料を配合した結果。求めていた結果にはならなくても、それを踏まえた上で新たな配合を考える。その繰り返しこそが、成長につながると考えることができるようになりました。

考えてみれば、大学時代の研究でも、実験は失敗の方が圧倒的に多いものなんです。社会人になってもそれは同じ。うまくいったことも、うまくいかなかったことも、次への一歩の糧にして物事を進めていく。

だからこそ、自分のペースを知ることも大切だし、良いパフォーマンスを発揮できるように自分自身をコントロールすることの大切さも分かりました。弱みも強みも武器にして、こだわりを持ち続けて、仕事に向き合っていくことが大切だと思います。

恐れず挑戦したから、分かったこと。

社会人になってから一年、やっとスタート地点に立ったか立ってないかだと思っています。年齢、性別を問わず長く安心して使ってもらえる商品を作るという基本を守りながら、今後は自分が提案した商品を形にできるようになりたいと思っています。そのために、まずは目の前の仕事を確実にクリアして成長していきたいです。

これは、一歩踏み出せずにいる大学生へのアドバイスなのですが、何事も一回やってみないともったいないと思います。失敗したくないという気持ちから、臆病になってしまうこともあるかもしれませんが、失敗は恐れるものじゃないと思うんです。私自身失敗を恐れず、自分の気持ちに素直になって、いろいろな物事に挑戦したおかげで今がありますし、なにより、最近になって自分はなにが好きでなにが嫌いかわかるようになりました。

自分の性格って、案外自分じゃ分からないものです。やる前から、これはできない、あれが好きと頭だけで考えず、苦手意識を持たずにいろんなことに興味をもって取り組む。その中で自分の性格が分かるんだと思います。やってみて始めて分かることもあって、その経験は就活にも活かせると思います。

特に就活している時期は、完璧にしなくちゃ、全部できないといけない、と思ってしまい、自分のできないところばかりに気が取られてしまうものです。そんな中で、何社も内定が断られると落ち込むかもしれないけど、自己嫌悪にならずに、自分のできることや得意なことをしっかりと相手に伝えることができるように頑張ってほしいです。

ライター 名護大輝さん:

久場さん、ありがとうございました!久米島で取材をさせていただいたとき、僕自身も初めての取材で、上手にインタビューすることができるのだろうかと、とても緊張していました。なので、取材を進めさせていただく中で、「失敗も学びのひとつで、マイナスじゃない」や「やってみてはじめてわかることもある」といった言葉を聞き、自分自身の励みにもなりました。失敗を恐れず、自分の気持ちに素直になって何事にも挑戦していく姿勢、さらに失敗からも多くの学びを得る姿勢。これは就活だけではなく、今後の生きていくうえでも大切な考え方になると思いました!


Back number